ストーカー男を逆にストーキング

何年か前の話です。ストーカー被害に悩まされていたのですが、地元の警察に行ってもけんもほろろで、ろくに捜査して貰えませんでした。被害が軽く、「単なる勘違いではないか」とまで言われました。そこで仕方なく探偵を雇い、自力で男の素性を突き止めることにしました。素性を突き止めた上で弁護士なりに警告して貰えば、ストーキングを止めるだろうと思ったのです。

探偵の事務所に行くのはその時が初めてでしたが、普通のオフィスと何ら変わらなかったので拍子抜けしたのを覚えています。探偵の方は、丁寧に話を聞いてくれました。商売なので当たり前と言えば当たり前ですが、警察で冷たくあしらわれていたので、とても嬉しかったです。その場で契約を交わし、調査して貰うことにしました。

ストーカー男はなかなか警戒心が強かったようで、調査には少し時間がかかりました。毎日電話とメールで報告を貰っていましたが、その報告があまりにも事細かに書いてあったので、まるで自分が尾行しているようでした。

最終的には三人がかりで男を尾行し、住所氏名を突き止めて貰いました。犯人は郊外の古ぼけた一軒家に年老いた両親とともに暮らす、四十代の男でした。独身で、子供もおらず、肉体労働系の派遣の仕事をやっていたようです。

私は報告書に添付された男の写真を見て、苛立たしいと言うよりは、情けなく、可愛そうな気持ちになりました。それくらい惨めな男だったのです。

もちろん可愛そうだからといってそのままにしておくことは出来ないので、弁護士の方に間に入って貰って、二度とストーカー行為はしないという念書といくらかの慰謝料を貰いました。

それ以来私へのストーカー行為はぴたっと止みました。費用はかかりましたが、ストーカー男を逆にストーキングして素性を突き止めて下さった探偵の方にはとても感謝しています。